雪の温泉街、おかしさは雪のように Part1

冬の農家は仕事がないだべ。今年は大雪で、野菜はみんな雪の下。仕方ねぇから農家の息子たちは毎日、農具とクルマの手入れをするだけ。若いエネルギーをもてあまし、モンモンとして過ごすんじゃ。とにかく女を抱きたい、発射したい、と。
そんなわけで、この時期、農家の息子たちは必ず温泉へ行くだべさ。ヒマだから親は何も言わないし、カラダは石炭ストーブのようにほてっておるし。

今年は中学・高校の同級生で野菜農家の息子ユウジと、稲作農家の息子ジンタ、そして俺ツグオの3人で、東北の○○温泉へ出向いたんじゃ。雪道を四駆で走り抜け、午後4時に温泉旅館に着いたべさ。
午後5時から温泉に入り、午後6時過ぎから料理をたらふく食い、ビールと日本酒を飲んだ、飲んだ、飲まれて飲んだ。
「おーい、そろそろ行くべか?」と、すっかり泥酔したジンタが切り出したのは、午後9時ごろだべさ。
事前に店の下調べはしてある。これはユウジの担当。
「そのソープランドには、なんでもプリプリの美少女ばかりおるそうじゃ」
と、ユウジは胸を張って豪語した。
「うぉぉぉ、早く行くべ。待ってろよ、美少女!」
3人は雪が積もった温泉街をそぞろ歩きして、目的のソープランドに着いた。いや、ソープランドといっても、旅館を改装したような和風のつくりで、昔の銭湯か公民館といったほうが正しいような佇まいじゃった。
待合室ではなぜか石川さゆりの「天城越え」が鳴り響いておったわい。ま、そこは温泉街。年配客も多いから、そっちにシフトした選曲なんじゃろうと思ったさ。

店の準備が整って通された部屋は、マジで旅館そのものじゃった。8畳の和室にふとんが敷いてあったさ。奥に浴室。テーブルの上には小さなポットと湯飲み、そして伊藤園のお茶のティーバックが置いてあったさ。
しばらくして「おじゃまします」という女性の声がした。「どうぞ」と声をかけると、ドアを開けて中年の女性が入ってきたんじゃ。おいおい、なんで仲居さんが顔を出すんだよ、とツッツコみかけたそのとき、その女性は「足元の悪いなか、ようこそおいでくださいました。本日、マッサージをさせていただきます佐和子ですぅ」とあいさつした。
ガーン! ひとまわり上くらいの年齢。しかも小太りの垢抜けない田舎のおばさんじゃないか。俺は年増好きでもデブ専でもないぞ。
「おにいさんは、○○温泉ホテルにお泊りですか?」と佐和子さん。
「ええ、そうです」と、とにかく愛想笑いする俺。
「この温泉へは初めてですか?」と、なぜか勝手にお茶を入れて、ずるずると飲み始める佐和子さん。
「ええ、そうです」と、少しムッとした声で答える俺。
「少し驚かれたかもしれませんが、ここはお風呂付のマッサージ店で、都会的なハイカラな店ではありません。でも、年配のお客さんにはとても好評なんですよ」
俺は呆然としながら佐和子さんの説明を聞いたべさ。
「それでも、ここ1、2年は不景気で・・・。それに冬は交通の便が悪くて・・・。ここいらでは温泉街で働くか、公務員になるか、農家の手伝いをするかしか仕事がなくて・・・それでわたしも、この歳になってこの店に勤めはじめたんですよ・・・」
あれれ、佐和子さん、なぜか身の上相談モードだべさ。俺は溜まった精液を吐き出すためにここにやって来たというのに。
「上の子は中学生で、下の子は小学生です。今日はおばあちゃんに見てもらっていますぅ。ええ、私は温泉旅館の手伝いをしていることにしていますから問題ないのですが・・・」と、佐和子さんの身の上話はそれからも続いた。
「あのぅ~、そろそろお風呂に入りたいんですが?」
「ああ、ごめんなさいね、私の身の上話をべらべらと話してばかりで。さっ、おにいさん、裸になってください。私は先にお風呂の湯加減を見てきます」
俺は裸になってバスタオルを巻いて床に座ったべさ。
「はーい、準備万端ですぅ。おにいさん、入ってください」と、佐和子さんの声がした。