抜きの前後の「息抜きトーク」にいやされる僕part1

はじめに。東日本大震災で被害にあわれた方にお見舞いを申し上げます。
僕はオタク系のショップに勤める店員ですが、東北地方から東京の店まで通って来てくださるお客さんもたくさんいらっしゃるので、今回の大震災はとてもショックでした。

大震災から約3週間、テレビや新聞では、悲惨なニュースしか流れていないので、知らず知らず、多くの人が不安やストレスを感じています。
でも、僕たちがやることはたったひとつ、また明日から一生懸命働いて、日本経済を復活させることなんです。気分がふさいでいるばかりではダメなんです。

大震災以降、お店の売上が激減し、深く落ち込んでいる僕に向かって、コスプレイメクラ「○○○○」のナンバーワンガールのぴっぴちゃんはこんな言葉をくれました。
「酒井さんを含めてみんながお仕事のパワーまで自粛しちゃったら、すべての企業やお店の売上が下がり、その結果、倒産しちゃいます。倒産しなくても、どんどん給料が減って、結局、日本全体が復活できなくなりますぅ。だから酒井さんはいつもどおりの元気な酒井さんでいてくださいぃ。節電は協力しなくちゃいけないですけど、本来もっている元気まで自粛する必要はないと思いますぅ」
なんと聡明な女性なんだろう。僕は驚きました。こんな女性が風俗店に勤めているということに驚き、お金の循環を的確にとらえていることに感心しました。
「そ、そうですよね。何を言っても不謹慎ムードの中、生きていく元気や自分たちの生活を支える経済活動まで自粛しちゃダメですよね。ぴっぴちゃん、僕はキミを経済復興大臣に任命したいよ」
僕はそう言って彼女をきつく抱きしめました。
彼女は「酒井さんが枝野さんに見えてきました…」とつぶやきました。僕は大声を出して笑いました。

それはコスプレイメクラ「○○○○」での出来事でした。その店は、客の希望するコスプレを着た女の子がサクサクと抜いてくれる手コキの店です。僕が最近この店をよく利用するようになった大きな理由のひとつが、手軽に抜けることと、ぴっぴのトークにいやされるからです。
もともと僕は、ほんわかとした不思議ちゃん系の女の子やロリ系の女の子が好み。ぴっぴちゃんは不思議系でありながら、トークにユーモアと説得力があるんですよ。
あとで聞いた話ですが、幼く見えるものの、ぴっぴちゃんは某有名大学に席があるそうです。もともとインテリなんですよ。

久しぶりに先日、彼女の店を訪れたとき、「抜き」に入る前にこんなトークで盛り上がりました。ぴっぴちゃんは僕のリクエストでナースの格好をしてもらいました。
「酒井さんはダイエットしてますか?」
「ええ、何度か挑戦したんですが、その都度、挫折しちゃいまして。それで現在も『でぶやの酒井』って呼ばれています」
「でも、酒井さんは太っていても、憎めないかわいらしいキャラなので好感がもてますよ。汗をかきながら一生懸命がんばっている感じが、太った働きアリさんみたいで、思わず敬礼したくなりますぅ」
「う、うれしいです。僕の特技は、たくさんの汗をかくことと一生懸命に仕事をすることだけですから、なんだかほめられたみたいです。敬礼するのは僕のほうです。ぴっぴちゃんはエスパーじゃないかと思うことがあるんです」
するとソファベッドに仲よく腰かけるぴっぴちゃんが大きく頷いて「そうです、わたしには超能力があるのですぅ」と宣言しました。
「ええっ、ど、どんな超能力ですか?」と、僕は彼女の手を握って言いました。
「はい、酒井さんが考えていることがわかるんです。正確には読心術っていうんですか?」
「ええっ、心が読めるんだ。それはすごい! じぉあ、僕がいま考えていることもわかるんだ?」
「はい。酒井さんはいま、少し休みたい気持ちとほっとした気持ちが混ざった心境ですね。たとえば船で漁に出かけたものの、台風にあって漁ができなくなった。何日も漂流してようやく港に帰ってきた…ああ、無事だった。疲れた、でもほっとしたって気分でしょう」
図星でした。そして、その心休まる港がぴっぴちゃんだったのです。
「そ、そうなんだ。そのとおりだよ、ぴっぴちゃん! その船の燃料がなくなってしまったんので、ぴっぴちゃんに会いに来たみたいなもんだよ」
「わかりました。わたしは酒井さんの船のエンジンをいまから復活させちゃう修理する人だったんです。さっ、台風で大変な目にあった船のエンジンを見せてください。わたしがこの手で修理しちゃいますぅ」
僕は少し涙目になりました。そして、ゆっくりジーンズを脱ぎました。
僕という船の「エンジン」はパンツの中で静かにそのときを待っていたのです。