『“快感配達人”の日々』 Part3

 と、イロイロな話を聞かせてくれた竹山さん。ドライバーの仕事って、ホント、大変なんだなと実感した次第。かく言うボクも二度ほど風俗ドライバーの経験がある。
 風俗ライターという仕事をしていると懇意にしてくれるお店もあり、そんなお店もスタッフとも信頼関係が生まれることもしばしばだ。そんな感じで取材後、スタッフと雑談していると、「イリさん、俺、ちょっと飯、食べてくるから受付、少しやってて!」というのは日常茶飯事だ。なので、ボクもその店の料金形態を暗記したりしている(笑)。で、そのノリで「ドライバーさんが休憩時間だから、イリさん、ホテル『M』まで女のコ、乗せてってくれない?」とお願いされたのが一回目。それは時間にして15分程度の“おつとめ”だった。
 二回目は今年1月のこと。ある夜、懇意にしている店から電話がかかってきた。なんでもドライバーさんの子供が急病で明日、仕事を休みたいとのこと。で、1日だけドライバーをしないか? ということだった。ボク自身もそのドライバーさんを知ってたし、その店は少数精鋭といったらカッコいいけど、要はスタッフが少なくて大変だという内部事情を知っている。また、その店の女のコとも気心が知れていることもあって快諾。
しかし、その日は給料日後ということで、けっこう忙しい一日で、女のコを複数乗せて3箇所のホテルにデリバリーなんてこともザラであった。

 で、香苗さん(仮名)とミミちゃん(仮名)を乗せて目的地へ向かっていたときのこと。ラジオでプリンセスプリンセスの曲が流れた。
 現在、ボクは三十代半ば。で、香苗さんはお店のプロフィールでは27歳になっているが、楽屋トークの必殺技が「私、27歳、7年やってるわ(笑)」というカミングアウト(このネタを使っていいと本人から了承済みです<笑>)。とにかく、豪快かつ気遣いのできる女性なので、その分、お店では姐御として慕われているが、実年齢はボクとほぼ同じ。なので、プリプリの曲は青春時代の曲だったりする。
 しかし、19歳の新人ミミちゃんは、「“ママ”が好きでした」とニッコリ。
で、ボクと香苗さんは 「それを言うなら『パパ』でしょう!」
そう、名曲の『パパ』のことを『ママ』と勘違いしてるのでは? そう思ったのですよ、三十代半ばーズは。 しかし、勘違いしてたのは我々でして。
ミミちゃんのママ。つまり、彼女の母親が好きだったと。 聞けば彼女のママの年齢はボクの2コ上。 で、彼女は19歳。
もちろん、ミミちゃんはプリプリはオンタイムじゃない。
「でも、子供の頃、ママと一緒に解散ツアー、行きましたよ(ニッコリ)」
「その解散ツアー、我々、大人だったわよ!(怒)」と冗談半分で怒る香苗さん。
そんな感じで盛り上がりつつ、彼女たちをホテルまで送り、時間に迎えに行ったワケですが、帰りはミミちゃんと二人きりの状況になり、イロイロと話をすることに。まずは、先ほどのボクが体験したプリプリのこと。 当時のバンドブームのことなど、 三十代半ば男の戯言なんだけど、ミミちゃんはニコニコしながら聞いてた。
そんな最中、フと言われました。
「私のパパも、そういう時代を見てたんですかね?」
聞けば、ミミちゃんのパパは、彼女が生まれた時、 まだ高校生だったそうだ。 それゆえに、複雑な家庭環境で、父親を知らないそうだ。
そして、事務所前で彼女を降ろす間際にミミちゃんに言われた。
「なんか、イリさんと話すの、パパと話しているみたいでした。楽しかった!今日はありがとうございました。 また、ドライバー、よろしくお願いします!  そして、また昔の話、聞かせてくださいね!」
……昔の話、かぁ(苦笑)。 ちょっと自分の年齢にショックを感じつつ、時を経て、昔、好きだったバンドに 新しい思い出ができたりと貴重な体験をしたと思う。
そして、みなさんに快楽をお届けする車には嬢とドライバー。そして、その人たちの人生が乗っているんだと実感したボクなのでした。