9/14
ジョージ社長の笑顔の向こう側に隠されている風俗店経営の奥深さpart1
風俗嬢の送迎ドライバーをしていると、風俗業界の側面や奥深さが見えてくる。今日は風俗店経営の難しさ、大変さについてレポートしたい。
俺が送迎ドライバーとして勤めているデリヘルは、当日仕事のできる女の子たちは全員、ジョージ社長所有のマンションに“出社”することになっている。俺もマンションの駐車場にクルマを入れ、必ず一度は“出社”し、当日の予約状況と女の子たちのシフトを確認し、部屋で待機する。
部屋には大きなキッチン、冷蔵庫、薄型テレビ、ベッドまで備えてあり、女の子たちはビデオを観たり、お菓子を食べたり、ゲームをしたりして過ごす。当日予約の入っている子はもちろん、指名の少ない子も「フリー客」要因としてスタンバイしている。
その日、ジョージ社長が珍しく渋い顔をしていた。俺はそんな社長を横目で見ながら、当日の女の子のシフト表を確認した。
「社長、ユズにと和香に新店のヘルプにまわってもらったらどうですか? あの店には超かわいい娘がいるって噂になれば新店の動員に弾みがつきますよ」
ジョージ社長はこの夏にオープンした新しいタイプの店の成績が伸びていないことに少し焦っているようだった。
新店は「どこでもオナクラ」をコンセプトにしたもので、客はホテルや自宅以外の場所で女の子にオナニーする姿を見せるというサービスだ。
「コンセプトは正しいですよ。でも、社長、自宅やホテル、レンタルルーム以外で露出して、通報されたらヤバいでしょう? なかには喫茶店で露出する興信所の社員もいるらしいし…」と、俺は珍しく意見を言った。
「いや、客はそういうことは必ず学習するはず。それに、たとえばビルの階段や公園で露出して、あ、こんなところで誰かに見られたらヤバいっていうスリルは人生でめったに味わえるものではない。この非日常性が付加価値だよ」
ジョージ社長はそう言ってマンションの窓の外に広がる初秋の青空を眺めた。いつもは穏やかな笑顔を絶やさないジョージ社長の向こう側に風俗店経営の難しさが見えたような気がした。
「コースケ、新店の話題を風俗専門のブロガーに書いてもらうよう、依頼しておけ。それから風俗ライターのイリ・オブ・ジョイトイさんには、一度店に遊びに来てもらうよう連絡しておけ。あの人はこの業界では知られたライターだから仲良くしておくように!」
「ええっ、風俗専門のブロガーって店の宣伝してくれるんですか?」
「バーカ、金をかけない口コミの誘発だよ。広告費を使えばそれに比例して繁盛するわけじゃねぇんだ。それより、誰かが推薦する店に行ってみたいと思うのが人間の心理ってもんだ」
ジョージ社長は心理学を学んでいるのか。俺はますます風俗経営の奥深さに魅せられていった。
「じゃあ、僕はこれから『どこでオナクラ』の女の子を集めて、初めてチ×ポを見た女の子のリアクションを教えることにするぞ」
ええーっ、演技指導までするのか、社長?
「はい、社長の指導を拝見します」
「パーカ、指導するのは、おまえだよ」
ええーっ、俺が演技指導?
俺は期待半分、不安半分でマンションの別室へ移動した。そこには「どこでもオナクラ」要員のさやか、ひとみ、ナナ、それに今日が初出勤のトモカがいた。
「はーい、みんなよく聞いてくれ。今日はまだ予約が入っていないから、待機時間にみんなに演技指導をする。待機時間とはいえ、ウチは指名がなくても1日の給料は出すシステムだから、待機時間も仕事時間。わかってるね?」
4人の女の子は全員、ぽかーんとした顔をしている。
「オナクラに来る客は、ウブな女の子にチ×ポを見せて赤面してもらうのが理想なんだ。みんなはもう見慣れているだろうけど、毎回、中学生に戻った感覚でいてほしい」
ジョージ社長が正論をぶった。するとナナがクスクスと笑った。
「ナ、なにがおかしい?」と、少しムッとした顔でジョージ社長。
「だって、社長、毎日3、4本も見てるんですよ。慣れちゃいましたよ」とナナは屈託なく話す。するとひとみも「ナナちゃんの言うとおりで~す」と語尾を伸ばして笑った。
やれやれ、先が思いやられるぜ。俺はジョージ社長の横顔を盗み見た。
怒りを我慢している顔だった。
「わ、わかりました。あとは、このコースケ君がみんなに話があるそうです。私は銀行に行きますから、それで失礼」
ジョージ社長は少し肩を落として部屋を出て行った。
8/05
風俗嬢の送迎ドライバーが聞いた真夏の風俗怪談part3
「じつはねぇ、先日お客さんがどうしても一緒に写真を撮りたいって言うもんだから、携帯で撮ってもらったの。で、『よく写っていたら写メールして』とお願いしたら、届いたのよ、写真が。それを見て、凍りついたね、わたしは」
シンコは事務所になっているマンションの一室で話を始めた。エアコンがぐわんぐわんと鳴っている。
俺は聞きたいような、聞きたくないような気分だった。
ユズが「えーっ、こわいっ。その写真に幽霊が写っていたの?」と聞いた。
シンコはニコリともせずに答えた。
「いや、違う。お客さんのチ○ポをくわえているわたしの写真が届いたのよ!」
おいおい、どこが怪談なんだ、と俺はほっとしたよ。
「そんな写真撮られてネットに流されたらヤバいよ。これからは気をつけな」と俺はシンコに忠告した。
するとシンコは「わかったよ」と淡々と答えたあと、「しかし、その客の背後が白っぽくなっていて、なんだか女の姿に見えるんだよ」と続けた。
「あのとき、いたんだよ。わたしがくわえているとき、お客さんの背後で見ていたんだよ、きっと」
「きゃあー、例の自殺した女の霊じゃない?」とユズ。
「でも、ホテルが違うじゃん」と、俺は凍った笑顔で聞いた。
「ホテルが違っても問題ないのよ」と、シンコは真面目な顔で言った。
「だって自殺した子は、わたしたちと同じデリバリーコンパニオンだったんだから」
おいおい、シャレにならないぞ。
「じゃあ、その子の霊は都内のホテルならどこでも出張するってことか?」と俺はシンコに聞いた。
「正解! それに女の霊を乗せるデリバリーのクルマもあるのよ」
俺はまた背中が涼しくなった。
「おいおい、俺みたいなデリバリードライバーがいるってことか? 専用のクルマがあるってことか? そんなバカな!」
「いいえ、俺みたいな、じゃなくて、その女の霊を乗せて都内を走っているのはコースケさん、あんただよ!」
ひぇーーーーーーーっ。
俺はソファからすべり落ちた。
「ど、どうしてわかるんだよ。だいたい見えないじゃねぇか? いるって根拠はなんだよ」
「先日、コースケさんのクルマに乗ったとき、わかったよ。クルマの後部シートがうっすらと濡れていたので気づいたんだ」とシンコ。
「ど、どうしてシートが濡れていたら、霊が乗っているってわかるの?」とユズが聞いた。
「・・・ん、だって彼女は潮吹きタイプだったからさ。移動中にカンジちゃったのさ」
ここでユズと俺は少しだけ声を出して笑った。
シンコは真面目な表情のまま、おかきを口にほうばっていた。
「あんたら、女の霊をバカにしちゃダメだよ。無言電話をかけてくることもあるんだから」
そういえば最近、俺の携帯には無言電話が多い。相手の番号は「非通知」になっている。俺はまた背筋が寒くなってきた。
と、そのとき、俺の携帯がブルブル震えた。あ、電話だ。しかも非通知だ。
しかし、すぐに切れた。おいおい、勘弁してくれよ。マジかよ。
シンコが低い声で言い放った。
「コースケさんは、どうやらその霊に好かれているようね。その霊がコースケさんの携帯に無言電話をしてるんだと思うな、わたしは。やっぱり女の執念は時空を超えるのね。純情な娘をだましたら、あとがこわいよ!」
俺は耳を押さえて「勘弁してくれ~」と叫んでいた。
再び携帯が鳴った。俺は電話に出られなかった。
するとシンコが俺の携帯を奪って電話に出た。
「はい、山形の携帯です。ああ、社長。はい、コースケさんはそばにいますよ。ええ、幽霊に囲まれたような顔をしてソファからずり落ちてます。じゃあ、かわりますね」
そう言ってシンコは携帯を俺に手渡してくれた。一瞬、彼女の目が笑ったように見えた。
ふー、安心した。社長からだった。
「もしもし、社長?」と、俺は携帯を耳にして話しかけた。
しかし、相手は無言だった。沈黙。
そして長い沈黙。俺はコンクリートのように固まったままだった。
おいおい、この先の展開どーなるんだよ。怪談話は1回で勘弁してくれー。
シンコは黙って俺の携帯を見ていた。
その表情がとても重く見えたのは、俺が動揺していたからなのか、それとも・・・。
8/04
風俗嬢の送迎ドライバーが聞いた真夏の風俗怪談part2
風俗ドライバーはときに初めての場所まで娘を送迎する。
シンコを乗せてあるトンネルを通ったときのことだ。都内にもトンネルは結構あるのだ。
トンネルの出口に近いとろに白い洋服を着た女性が現れた。と思ったら、すーっと消えた。
「シンコ、見たか?」
「見た、見た。あれは本物の幽霊だよ。このトンネルで亡くなった女性が何かを訴えたくて幽霊になって出るんだよ」
シンコは霊感が強いタイプだ。
その日はずっと幽霊のことで頭がいっぱいだった。
翌日、娘たちが待機するマンションで再び幽霊の話になった。
「2人が同時に幽霊を見るなんて・・・でも、トンネル出口の水蒸気がゆらゆらして乱反射したとか、なんか科学的な説明ができるように思うな、俺は。だから幽霊なんていないよ!」と俺は幽霊の存在を否定した。
「それがいるんですよ。ちょうど1週間前のこと。ほら、コースケさんに送ってもらって都内のシティホテルFに呼ばれて行ったでしょ。あのとき、出たのよ」
「ゴキブリが?」
「ゴキブリはパンツの中に隠しておいて、幽霊が出たのよ。あのホテルで以前自殺した女性の霊がカップルをうらやんで行為の最中に出るのよ」
「出るって、トンネルの幽霊みたいにすーっと登場するのか?」
シンコの話では、ベッドを使っていないのにベッドがカタカタと動くそうだ。
また、シャワーを止めたはずなのに突然、シャワーの口から水が噴水のように飛びだしたという
「お客さんの友人が隠れていて、2人の行為を盗撮しようとしていたんじゃないの?」
と、俺はつじつまの合わない突っ込みをした。
「だったらいいんだけど、お客さんと一緒にシャワーしている最中にベッドの上に置いていたお客さんのパンツがイスの上まで移動していたこともあったよ」
「そのパンツはリモコン式か?」
「おいおい。そうじゃなくて、その部屋で亡くなった女がわたしたちの行為を嫉妬して妨害していたのよ。ベッドを揺らしたり、パンツを隠したりして」
俺は言葉を失っていた。
「その幽霊になった女は失恋から立ち直れず、元カレとの思い出がつまったそのホテルで自殺したのよ。だから仲の良いカップルに嫉妬して登場するのよ。わたしなんか、何度かパンツ隠されたよ」
俺は相当びびっていた。
「その女の元カレはねぇ・・・」
俺はノドが乾いて苦しかった。
「その女の元カレがどうしたの?」とユズが興味津々の表情で聞いた。
「その女の元カレは、あんただよ。コースケさん!」
ひぇぇぇぇー。俺は耳をふさいだ。
「やめてくれー。俺のせいじゃない。俺はただ・・・」
「って怪談話だけど、なーに、動揺してんのよ、コースケさん!」
ふー、なんだよ。
俺は救われた思いがした。
怪談といっても、リアリティありすぎるよ。
俺はしばらく怪談話も都市伝説も聞かないようにしよう、と思ったよ。
でも、2日後、シンコが衝撃の怪談話を始めたことで、再び恐怖のドン底に落とされたのだった。
8/03
風俗嬢の送迎ドライバーが聞いた真夏の風俗怪談part1
風俗嬢の送迎ドライバーをしていると、聞くつもりがなくても風俗嬢同士のたわいのない話が耳に入っている。夏になると怪談話に花が咲く。娘たちが待機しているマンションでは今、みんなが“稲川淳二”状態だ。
「ユズは…」と、指名ナンバーワンのユズが舌ったらずの口調で話を始めた。
「ラブホでとてもこわい思いをしたことがあるんです」
「ほうほう、お客の股間から真っ赤な象が顔を出していたとか?」と俺。
「そんなんじゃありません。あるラブホに幽霊が出たんです。それはわたしが何度か呼ばれていったラブホでした。誰も乗っていないエレベーターに乗ったら、スーッと私の肩に手が乗せられ、女性の声がしたんです。『何階で降りるの?』って」
ユズはブルブルと震える格好をして続けた。
「その手はとても冷たくて……振り返る勇気がなくて……わたしが黙っていると、また『何階で降りるの?』と聞いてきたんです」
俺はその迫真の演技に「マジかよ?」と突っ込むことができなかった。
「それでわたしが『ご、ご、5階ですぅ』と震えながら答えると、幽霊は低い声で『このラブホに5階はない。あるのは4階だけだ。おまえはそこで降りるんだ。そこは4(し)の世界だよ』とささやいたのです。いえ、そう聞こえたのです」
俺は凍った笑いで突っ込んだ。
「フロアを間違って、いゃあ、“5階(誤解)”だったなんてオチじゃないよね?」
「コースケさんは黙っていてください。わたし、チョーびびったんですから。で、5階で止まって飛び降りたよ。その日のお客さんはわたし好みのイケメンでしたが、ユズはぜんぜん感じなくて、ずっと震えていました」
「それで帰りは、怪談だけに“階段”を使って降りた?」
「よくわかりましたね。もうエレベーターのあるラブホには行きたくないですぅ」
この程度の怪談話なら、風俗嬢はたくさんの在庫を抱えている。サービス業だから、彼女たちはトークのネタとして持っているのだ。
ユズの友達で、ユズと一緒に店に入ってきたシンコがここで話に割って入ってきた。
「わたしはホテルの中で出会ったよ、女の幽霊に・・・」
俺は心の中で、またかよ、とつぶやいた。じゃあ、シンコの「持ちネタ」を聞こうじゃないか。
「で、怪談だけに、女の幽霊が集まって“会談”してた?」
シンコはクールで声も低いので、話しだすと迫力がある。
「いいえ、幽霊はひとりだったよ。お客さんとベッドの上で格闘している最中に、バスルームから女性のすすり泣く声がしたんです」
「誰かがオナニーしていたのか?」と俺。
「ってそんなことあるわけないじゃないですか! わたしとお客さんしかいないホテルの一室ですよ。アソコをなめられてる最中、バスルームからすすり泣く声がして・・・それが気になって集中できなくなったの」
「それでシンコはどうしたの?」とユズが質問した。
「わたしはお客さんに『ちょっと静かにして。バスルームから声がするんだけど?』と言ったよ。そしたらわたしのアソコをベロベロしていた中年のお客さんがその行為を止め、しばらく耳を澄ましてから『確かにすすり泣く声が聞こえる』と」
シンコの話によれば、こわくなった2人はすぐに洋服を着てホテルから出たという。
「それじゃあ、お客さんのナニも即、勃たなくなっただろ?」と俺が茶化すと、シンコは「しおれたアサガオみたいになってましたよ。おまけにキン○マが胃袋まで上がってました」と、低い声で笑顔も見せずに答えた。
その語り方のほうがよほど怖かったよ。
しかし、怪談話はそれだけで終わらなかった。俺が体験者になったのだ。
6/23
貯金と婚活に励むプリティ・ウーマンの「恋する夏の日2010」part3
バスルームに入って、Fさんの股間を手でもむように洗ってあげると、彼は「ああ、ああ」と女の子のような声を出しました。それがまたかわいらしいの。わたしは奉仕するよろこびを全身で感じました。
彼のお尻の穴まできれいに丁寧に洗ってあげたとき、彼は「ココロちゃんはいいお嫁さんになれるよ。毎晩、キミにこうやってチ○ポやお尻を毎晩洗ってもらえる男性が、うらやましいね」と言ってくれました。
わたしは、そのとき、あ、今が攻め時だと直感しました。
「Fさんさえよければ、わたしが毎晩、全身を洗ってあげますよ」
勇気を絞って、そう告げました。
「……ココロちゃん、うれしいことを言ってくれるねぇ」
と、Fさんは笑顔を返して、わたしの股間に手をさしのべました。彼の右手がわたしのビラビラを開き、彼はそこに顔を寄せました。
「クリちゃん、クリちゃん、隠れてないで出ておいで」
彼はおどけた表情でわたしのおマ○コに話しかけました。そのとき、彼の分身が復活しはじめたのが見えました。ムクムクと大きくなり、やがてピンと天井を向いたのです。
わたしは元気な男性が好きです。だってわたしのために、2度も3度も勃起してくれるんですから。
彼は勃起したまま、バスルームの床に腰を下ろし、わたしの股間をなめ続けました。
ああ、愛されている、わたしは実感しました。クリトリスが顔を出すと、彼は舌の先でツンツンと突いて、わたしの反応を確かめました。
わたしは少しオーバーに声をあげました。
「あ~っ、とろけちゃうぅ」
男性はこういう甘い声に弱いものです。色気でがんじがらめにするのは、重要な作戦です。体が離れられなくなると、男と女は自然につきあうものです。
ベッドに移動してからは、わたしが主導権を握りました。彼の全身をなめまわしました。耳たぶ、うなじ、ヒザの裏、太もも、乳首、脚の付け根、もちろん、彼のウィークポイントである肛門も。
彼はアヌスをなめると、きゆっと締めて、泣きそうになるんです。「あーん、あーん」とか細い声をあげて、シーツをぎゅっとつかんで我慢するように、むせぶように、喜びの泣き声を出すんです。その顔を見られることが、その日のわたしの幸せでした。できることなら、ずっと彼の顔を見つめていたと思いました。
最後は騎上位の素股でフイニッシュすることにしました。お互いの股間にヌルヌルのローションをぬりたくり、彼のペニスに片手を添えました。
「ココロちゃん、本当に中に入っているみたいだよ。挿入しているみたい……」
彼はわたしの下で歓喜の笑顔でささえきました。甘い声にゾクゾクしました。
「……イッちゃう、イッちゃうよお」
やがて彼がそう申告したとき、わたしはかつてないスピードで腰を前後に振っていました。すぐに、彼の精液は彼の腹に飛び出しました。
精液をぬれティッシュでぬきながら、わたしは「毎晩、Fさんにこんなことしてあげたいなぁ」とささやきました。
「ねぇ、ダメ?」と、たたみかけて彼の目を見つめました。
と、そのとき、余韻にひたるFさんの瞳がにぶく光ったように見えました。
「……うれしいねぇ、じつは僕は商社マンじゃなくて、今春、印刷会社をリストラされて、今は無職なんだ。キミならお金を貯めていそうだからお願いするよ。小さな印刷会社を起業するから、僕にお金を貸してくれないかな。1000万円、いや500万円でいいから」
わたしは気持ちが静かに冷めていくのを感じました。Fさんは風俗嬢にたかるヒモ系男だったようです。わたしは商社マンと結婚して、専業主婦になりたかったのに。わたしはFさんを勝手に好きになり、勝手に冷めてしまいました。
わたしが貯めたン百万円の貯金は、わたしのもんだっ。アンタなんかに、渡すものか。
わたしはサッサとシャワーをあび、洋服を着て、先に部屋を出ました。
ホテルの前でコースケさんのクルマを見たとき、ほっとしました。
真実を直視するなら、彼はリチャード・ギアではなかったし、わたしはジュリア・ロバーツではなかったようです。
……俺はココロが話す、そんな話を聞きながら、彼女の「ひと夏の恋」が始まったばかりであることを知っていた。
「よーし、今年の夏は本物の若手社長をゲットするぞ。医者でもいい。弁護士でもいい。ええい、わたしの夏はこれからなんだっ!」
そう宣言してココロは、深夜のファミレスで珍しくビールを注文した。
そしてグッチのバッグから、Fさんに渡すはずだった手紙を取り出し、ビリビリと破いてみせた。
グラスに注いでグイグイと飲みほし、彼女は少し潤んだ瞳で、「うわあ、うまい!」と叫んだ。
ビールの苦味が涙を誘ったのか、流す涙の水分を補充するためにビールを注文したのかは定かではなかったが、ココロはその日、苦いビールをたらふく飲んで、深夜のファミレスで眠った。
その寝顔は、俺の目には、貯金と婚活に情熱を注ぐ2010年の「プリティ・ウーマン」に見えた。




